
キッカケになったのは、LINEで姉から「まだ母に言わないの?」と言われたから。
お兄さんに精子提供してもらいたいと思ってること、承諾してもらったこと、いずれ妊活します、ということをその都度話していたのですが…
いざ妊娠すると…言えない…!
「子供生まないで!」自分を生んでくれた母の言葉は相当重い
「子どもは生まないで欲しい」「子どもがかわいそう」とハッキリ言われ、「生まれた子がいじめにあったら」「世間から理解されるような親子ではないから子育てに苦労する…」と子供と子供を生んだ私の未来まで心配し反対していたので…
母の気持ちを考えるとなかなか言えなかったですね…。
結婚できない同性カップルは、母にとっては「友達以上恋人未満」のように見えるのか、私がシングルマザーになって苦労するとも思っていたようでした。
一緒に住み出す前からまさこの通帳を預かり、お小遣い制にして必要なお金を渡していたくらい私たちは友達でも恋人でもない関係になっていたけれど、それを説明しても、「お金の管理できない人なの?」と心配され…

また、母の知人が2回の人工授精で2回ダウン症の子どもが生まれたことも不安要素としてあったようです。
「障害をもって生まれてきた子どもを育てる自信はあるの?一生のことだよ」と。
妊活を始める1年前に言われたことです。
もちろん子供をもつことに対して、まさことそれなりに話し合っていましたが…「覚悟」して妊活する、というようなものではなかったんですよね…。
「子供が欲しい=エゴ(自分勝手)=悪い」と言われること

●子どもが欲しいと思ってる人は、最初から母になる、親になる自信を持ってるの…
●起こりうるかもしれないありとあらゆる苦労を想定済みでみんなは子どもを欲しいと思うの?
もっと単純に子どもが欲しいから欲しいのでは…
もっともっと言えば、自分が幸せになりたい、子どもがいたほうが自分にとっての幸せだと思うから子供が欲しいと思うのでは…と私は母に反対された時も今も思っています。
子供が欲しいという湧き出る感情があって、経済的なことは考えるかもしれないけれど、理屈や何か難しく考えて妊活するわけではないような…。
もちろんこのケースに当てはまらず周囲の期待に応えて妊活する人もいるでしょうが。
「結婚」「出産」を周りや社会に望まれ期待され重圧を感じる女性がいる一方で、逆に私のような人間は「結婚」「出産」を望むな!エゴだ!と非難されうる。

異性カップルで「子供が欲しい」と望む場合、歓迎されることはあっても「子供欲しい=エゴ=悪いこと」のように言われることはあまり考えられないですよね。
でも次のことは頻繁に言われることだと思う。
「同性愛者が子どもを欲しいってそれエゴじゃない?自分のことしか考えてない」=悪いって。
異性のカップルで似たようなことだと…
「人工授精?体外受精?そこまでして子供欲しいの?」
「代理母出産?それ親のエゴじゃない?」ってそれと似た感覚で、「自然じゃない」と叩かれる。
私たちは人工授精しないと絶対に子供できないし、精子提供を受けないと絶対に子供は授かれないから、さらに風当たりは強い。いやその前に同性同士ってところからすでになんだろうけど!
理想の家族形態ってなんだろう…
お父さんとお母さん両方いて幸せな家族もあれば、両方いてもそうじゃない家族もいる。どちらかしかいない場合もあるし、親から逃げて施設に入る子もいる。親がいなくて施設に入る子もいる。子供がいて再婚する場合、血のつながりのない親子になることだってある。
「家族」といういくつかの定形のストーリーは出来上がりそうだけど、家族経験はかなり個人的なもので、1つとして同じものはない。
同じ人間がいない以上一括りにできないのが「家族」というもので、「こういう家族が一番理想的だ」と優劣をつけてもそこに大した意味があるようには感じない。
いや、本当にほっといてくれる?これが本音です

「普通は」って言葉は私も意識せずによく使うけれど、意外と都合よく使える言葉なんですよね。「自然」って言葉もそうで。
同性カップルは自然に子供ができないから、子供を持ちたいと思うのはエゴ。
お父さんとお母さんの間で生まれることが普通で、そうじゃない同性同士の子供はかわいそう・いじめらる、だから生むべきではない。
よく言われるようなことだけど・・・
もちろん自分の頭にある概念や価値観を一番正しいものだと正当化したい気持ちは人間らしいしわからなくないですよ。でも非難/否定しないといけないほど、この価値観が自分自身の幸せを脅かすものなのか?っていうとそうじゃないと思うんですよね。だから「みんな違うね」じゃダメなのかな?と思います。
自分の心にザワつきや不快感といった理解できない、もしかすると言葉で説明することができない本能的に感じる気持ち悪さがあるとして、それを払拭したくて相手を否定したくなるという気持ちは私にも経験がないわけじゃないけれど…
でもその不快感や気持ち悪さは相手の問題ではなく、そう感じた人自身の「普通は」「自然は」「こうじゃないと変だ/いけない」という1つの価値観しか認めないという姿勢が問題であって、自身でどうにかしてもらうしかないし、私はそうする。それができない場合や飲みこめない場合、相手を非難する/否定するという形になるのだろうけど…その対応は大人は許されないんじゃない?と思います。
みんな違ってもそれぞれ幸せになりましょうよ…
言われた人がどう思うかを考えずに、非難・拒絶を表すことを、ただそう思ったから言っただけだよ、と言うなら、私はこの「同性愛者が子供を欲しいと思うことはエゴで、自分のことしか考えてない論争」に関しては、「そうなんだね、じゃあそれぞれパラレルな世界を生きよう、お互いそれぞれ幸せになりましょうよ」としか言うことができない。
つまり、例えば…「私の子供が生まれても、あなたの幸せを脅かすものではないんだし、いじめられてかわいそうなのは、あなたやあなたの子供ではなく、私の子供で、それを見て傷つくのは私たち。あなたの心にかすり傷1つ与えないし…痛みも責任も負わない第三者は、私たちのことはほっといてくれるかな?」っというようなことを思っています。
私にはその相手の不快感・気持ち悪さを払拭してあげるために、その意見を認め受け止めるという責任まではない。違う話はしても、その相手とそれ以上この件について話すことはないと思う。理解しあえないままでも、お互い幸せになっていこうよ、と。
私は私たちのような人を反対する人の幸せに干渉する気はないし、その人の幸せの価値観を否定したり非難もしない。だからこちらのことも…本当にほっといてくれる?と、私は常にそう思ってます。
理解して欲しい…認めて欲しい…そういうことすら思ってないから、ほっといてくれたらいいのに、と!
「普通は」とか「自然じゃない」とか「エゴだ」とか、そう思うのは自由だけど、それをもって価値観を押し付けないで、と。そこにはなぜか「怒り」のようなものがセットでくっついてきたり、「あなたのために」「心配して」という(自覚はないにしても)優しさを装って価値観を押し付けようとしてくるから…余計やめて…と思ってます。

でもその論争を仕掛けてくるのが母の場合…

私を傷つけたいわけじゃない人、私を産んで愛情いっぱいに育ててくれた人、もしかすると…自分の命より私を大切にしてくれる母には、「パラレルな世界でそれぞれ幸せになりましょう」「ほっといてくれる?」と簡単に割り切れないですね。
実際妊娠が分かってから私はずっと母に申し訳ない気持ちでいて…妊娠が確定してかなり早い段階からつわりが始まって気分の浮き沈みが激しくなっていたこともあって、母のことを考えては申し訳なさで毎日泣いていました。
妊娠がわかった10月も翌月11月も母は友人と旅行の予定があったので、せめてその旅行が終わってから話そうと思っていたこともありますが…話しづらかった…。
引き延ばせばそれだけストレスがかかってくることは感じながらも…。
つわりで体も精神的にも辛くて衝動的に電話、勢いでいくしかない、みたいな
11月20日「母にまだ伝えてないの?」
姉からLINEが来る前からもう言わなくちゃなと思っていたのですが。
ちょうど姉から連絡がきたので、「このことで母が上の空で運転して事故にでもあったらどうしようとか心配しだしたら言い出せない」と不安を伝えました。でも「それを踏まえた上やろ、なるようにしかならない」とハッキリ言われ、そして「できるだけフォローするからファイト」と励まされ、そのLINEのあとすぐに母に電話しました。
衝動的な感情…直接会うともっと話せないと思って、このつわりの辛さを勢いに行くか!みたいな感じでした。
母が電話に出た瞬間から私はずっと号泣でした。
「私は幸せなんだけど・・・これは私にとっては幸せなことなんだけど・・・母には違うことで・・・」
次の言葉が出ずしばらくこの前置きを繰り返してると、「ちゃんと言葉にして伝えてくれる?」ともう気づいてる様子で…
「子供がお腹にいる…」と言いました。
「そんなに欲しかったの?母が反対してもそんなに欲しかったの?ちゃんと考えたの?」と言われ、私は何を答えたのか記憶がないのですが…母は「分かりました。体調気を付けないとね、母になるんだから」というようなことを言って1回目の電話が終わりました。
1回目というのは、そのあとまたすぐ母から電話があって「あかちゃんが生まれてくる前の準備は母たちがします、あかちゃんはこっちに帰ってきて産みなさい」と、「あと申し訳ないとか言ったらダメ、生まれてくる子がいけない子みたいにそんなこと母になる人が言ったらいけない、もっと強くなって!」と。
理解できてなくても子供はかわいい
電話を切った後、色んな気持ちがある中で、「子供ができた」という事実を前に大きく気持ちを切り替えてくれたのだろうと思います。
「子供ができたらその子はかわいいに決まってる…」妊活する1年前に母が言っていた言葉。
私は子供を生んじゃダメで、お姉ちゃんは生んでよくて…母はお姉ちゃんの子供を可愛がって…もういい、私の子を可愛がってと思わないから私は生む!
私が怒りと不満をぶつけた時に、「理解できないけれど、もし生まれたらかわいいに決まってる…そんなこと当たり前じゃない…全然親の気持ちわかってないよ…」と言った母の言葉。葛藤しているから母も泣いていて。
反対だけど、理解できてないけれど…生まれてきたらかわいいに決まってる…本当にそうなんだ。本当にそう思ってくれるんだ…!
翌日母から「食べたいもの送りますので何がいいか教えてください」とLINEがきました。
まだ1日しか経ってないのによくそんなことを言ってくれたなあ、母は強いなあと思いました。
電話したその週に実家に帰りました

電話で何を言ったのか覚えてないけれど、「生まれた子はパートナーと養子縁組をする」ことも伝えていたらしく、翌日姉からLINEで「養子縁組することに対して母はあまり理解してないみたいだったからもう一回話した方がいいよ」と言われました。
電話で話したのが月曜で、金曜日は実家に戻りました。
思いつめていた緊張がなくなり、完全に私は前向きな気持ちになっていたので、「孫が増えるの楽しみだね、母」くらいの気持ちでいました。もう申し訳ないという気持ちはゼロでした。
母がサポートしてくれる、反対していても生まれる子供はかわいいと思ってくれている、それは十分伝わっていて…!
私は思い詰めるととことん深みにハマりますが、一旦そこから抜けるとしばらく無敵timeに入るタイプです。

一緒にお風呂に入ったときにそう伝えました…☆
「え?」みたいな感じだったけれど、私が幸せなことは伝わっていて母も吹っ切れてる様子でした。
まさこと子供の間での養子縁組について母は…
会ってから1度チクリと刺さることは言われましたが、パートナーと子供間での「養子縁組」は、母にとっては、「パートナーが親になる責任を持つ=真剣な関係」だと受け止めたようで実際理解していました。
ここは何の問題もなかったですね。
特別養子縁組ではなく普通養子縁組をするので、私と子供の親子関係はなくならないけれど、私の親権は実質なくなります。
自分の子供なのに養子に出すの?親権ないよ?いざという時に子供をとられるよ?みたいな母が言い出しそうなことは一切言われませんでした。
むしろ「ねえ、その人さ、私が育児放棄して逃げたらどうするんだろう…」みたいなことを言ってました・・・。

それこそないと思うけど、どれだけ私のこと親になれないと思ってんの…!!!
子供を楽しみにしてる母を見て嬉しい
私に妊活のキッカケを作ってくれた姉は3月の終わりが予定日なのでもう里帰りしています。
私の姪っ子も一緒に実家に帰ってきてるので、今実家は大賑わいです。
母は「しーちゃん(初孫)が可愛いすぎて、次に生まれる孫2人可愛がれないかもしれん~~そのときはごめんね~☆」と姉と私に楽しそうに言ってきます。

戌の日に神社にお参りに行ったとき「お母さんはまだ彼女と私の関係を理解できてはないけれど、生まれてくる孫はどの子も同じ!かわいい孫だから」と真剣に言ってました。理解できてないけどそれは本当なんだと。
母に話したのが11月、そしてもう3月。実際に、私の子供が生まれることを母は楽しみにしています。服を見たり、何を揃えるか考えてくれたり。実家からまさこと暮らす家に帰るときは栄養たっぷりの料理を持たせてくれたり…!
そんな母を見て、私は本当に嬉しいし、ありがたいし、私の母は100点満点だと思ってます。

といつか寝る前に言うと、2度聞きしそして「何言ってんの…」って照れてました…☆
母への報告はこんな感じで無事終わりました…!
そうそう…忘れてはいけない…父には1月に伝えましたが…これが意外な展開で!
また後日書きますね!
ではこのへんで!